WORKS 設計事例

カテゴリー:

パッシブデザイン戸建て住宅

福岡市KW邸はなれ

仕様

設計期間 2008.03~2008.08
施工期間 2008.09~2009.02
構造規模 在来木造・平屋建て
敷地面積 605.52平米
建築面積 113.02平米
延床面積 99.37平米

2007年7月竣工の福岡市KW邸の大きな前庭に第二期工事で「はなれ」ができました。本宅と同時に計画していた「はなれ」は一度頓挫したのですが、全く形を変えての実行となりました。
「はなれ」と呼んでいますが、施主婦人の踊りの練習場という役割があります。
電磁波過敏症の婦人が体調を整えるために身体を動かす場ですから、それを助長してもじゃまをしない建物であること、そしてもう一つ、なるべくインフラに頼らずにこの建物を使うことが出来るようにとの要求がありました。

 

■外観
本宅と中庭を挟んで平行に道路側に建っています。
道路側の窓は南向きです。が、夏場の日射・輻射を少なくするために、また道路からの視線をカットするために高い位置に小さめに開けています。ですが日中は照明をつけなくても明るいように、また通風のために高窓を取りました。
南側と西側の壁には緑化すべく「うべ」を、窓部分には「ゴーヤ」と「ヘチマを」植えています。これも夏の日差しの熱を建物に取り込まない策です。
屋根:カラーベストコロニアル葺き
外壁:杉板下見板張り
建具:木製気密サッシ(ペアグラス)高窓:ヴェルックスウィンドウ

 

■独立電源システム+雨水タンク「雨風光の塔」
手前の風車がついている箱 気になっていたでしょう?
これはこの建物で使う電気を作ってバッテリーに蓄電している独立電源の設備一式を納めたものです。そして屋根から落ちる雨の一部を溜めるワイン樽もセットされています。
この小さな風車72wとソーラーパネル153w2枚で充電した電気は、この建物の照明と換気扇の電力を賄っています。コンセントもいくつかあります。スタンドやパソコンなら繋いで使えます。が、掃除機は無理です。九電とは繋がっていないので、バッテリーが空になれば照明も消えてしまいます。
ちょっと不便ですが、ここは生活の場でないので、思い切ったことができました。
ちょっと不便だと、色々工夫することを考えて、とても楽しくなりますよ。

ワイン樽にたまった水はトイレの流し水に利用します。ポンプもなくてその高低差だけでトイレのタンクへ水が落ちて行きます。ゆっくりです。
ワイン樽の下の箱の中に、バッテリーが3個とインバーターなど電気制御関係が入っています。

 

■門扉
本宅の工事で出来ていた外柵と同じモティーフで門扉をつくりました。
背の高い物は特に内部が素通しで見える方が防犯に有利です。

 

■中庭
門扉を入って右に曲がると中庭です。本宅からもはなれからもそよぐ緑が見えてすがすがしいです。
苗木がまだ若々しいですが、これからどんどん充実していくことでしょう。住まいづくりにもいえますが、成長していく植栽は竣工時にパーフェクトでないことが、住まわれる方なりのカスタマイズが容易く、その後の楽しみを倍増させます。

 

■土間
中庭沿いにテラスを奧まで歩いて、土足のまま使える土間の台所に入ります。
外柵沿いに植わっているお茶の木から葉を摘んでお茶を煎ったり、お餅つきの時にも活躍しそうです。

キッチンセットは杉の無垢材で、大工さんが作ってくれました。

 

■板の間
土間から15センチ床が上がって10帖大の板の間です。

隅に黒く見えているストーブは、薪とペレット兼用の岩手県で作っているストーブです。
薪・ペレット兼用ストーブ:クラフトマン/石村工業株式会社
http://www.craftman-pe.com/front_page

 

■練習室
メインの空間―40帖大―です。
板の間と正面の二枚引き込み戸でつながっています。

見返し
正面の建具は収納、左端がトイレ入り口。
南側の窓は小さめに、中庭側は大きく開けています。上から降る光も加勢して日中は照明をつけなくても十分な明るさです。

 

■照明
蛍光灯器具(40w用)に蛍光管型LEDライト(19w)をつけました。片側に5本、計10本190wの消費電力でこの空間を照らします。夜の体験でも身体を動かすには十分な明るさがとれていました。

LEDの特徴でもあるのですが、光束が広がらず直進するので、まぶしさを和らげるためにシルクのスカーフをつかってカバーをつくりました。
蛍光管型LEDライト:NACTUBE III/NACPLAZA
http://www.led-light.jp/page069032.html

 

■エッチングガラス
練習室と板の間の間にある引き込み戸とそれが収まる壁に、ガラス窓をつけています。二枚が引き込まれるとそのガラスがぴったりと揃ってそれぞれのガラスにある模様が重なって見えるようにしました。
そのガラスはステンドグラス用の吹きガラスに、模様をサンドブラストで付けてもらいました。この模様はシュタイナーのフォルメンの中から、重なってきれいに見える物を作家さんと婦人とともに選びました。

三枚重なったところ。

 

真ん中に来る一枚、これだけ色がついています。

 

真ん中が抜けた二枚、透明の吹きガラス。

 

壁についている透明の吹きガラス。

ページトップへ