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うりずんPassiveHouse/PHJ九州支部勉強会
7月3日に行われたパッシブハウス・ジャパン九州支部勉強会のご報告です。
「うりずんハウス」と名付けられた沖縄初のパッシブハウス認定のお宅です。
沖縄と言えば温暖ならぬ蒸暑地域。当日も気温はは32℃、福岡では34℃だったようです。沖縄は海風によって気温は34度が最高らしいです。けれど湿度が半端なくて、影に立っていてもじんわりと湿気に身体が包まれてしまい、出てきた汗も蒸発できず暑さの感じ方がマシマシ高まります。日に照らされればもちろん「あっちぃ」が口をついて出てしまいます。
パッシブハウスと言えば南側に大きな開口部を想像してしまいがちですが、この蒸暑地域では日射は遮るものです。西側の大きなデッキはトレリス格子で囲われています。南の窓達には木製のルーバーが固定で付けられています。カーポートはパーゴラになっていてまだ伸びきっていないけれど徐々に緑が覆ってくるようになっています。
設計監理はアトリエガィィさんです。この地域にパッシブハウスを増やして行きたいという強い意志のお施主さまにとことん付き合われて足かけ7年!!PH認定取得を達成されました。その認定取得のコンサルタントを江藤が足かけ6年務めました。
内地のパッシブハウスと環境が違うこの地でどうやってパッシブハウス基準に収まるようにしたのかを勉強会でお話しさせていただきました。断熱材を厚くしてもある所から先は冷房&除湿需要が減っていきません。土壌に熱を吸い取ってもらう方法を工夫して冷房&除湿需要を凝らしました。暖房需要はナント0なので、冷房&除湿需要を下げる手立てだけを考えることで進みました。
うりずんハウスの見学では、3グループに別れ時間差で現地に向かいます。当初はマングローブの林を散策しながらの移動予定でしたが、この暑い日中では体調不良になる方もいるかもしれないと、急遽車乗り合わせで移動となりました。うりずんハウスの内部に入るとほーっとできる温湿度、26℃60%のパッシブハウス!外部とは別世界です。空気温がそうなのだけでは無く素晴らしい外皮性能を持っているので、天井壁床表面からの冷放射もよく効いています。
コンパクトに纏められたスキップフロアプラン、うりずんの時期(沖縄で新芽の出る爽やかな時期)には風を通して過ごす沖縄ならでの暮らし方に対応できる計画になっています。ただPHJ会員からは、本当に窓開け通風をするだろうか?という疑問があちこちで聞かれました。施主様には確認できていないですが、次の機会にぜひ聴いてみたいと思います。
さて、見学を終わって会場に戻り、うりずんPHで温湿度実測をされている旭化成建材・一坊寺氏よりこの地方の気候の解説とこれまでの実測データの開示をいただきました。台湾からのゲストJayさん(施主様が沖縄に近い気候の台湾に見学に出かけられ尋ねたパッシブハウスデザイナー)から台湾でのパッシブハウス実例報告、PHJ森代表からのうりずんPHの認定についての解説などいただきました。森代表からの「省エネ運動は平和運動」という言葉に大きく頷いた次第です。そして施主様からの感想に続いて高性能の住宅建設に関わっていらっしゃる現地の方々からの感想もいただきました。
という盛りだくさんの、この人数では勿体無いくらいの内容で勉強会が終わりました。
その後、勉強会会場と同じ「わんさか大浦パーク」敷地内の会場で懇親会も催されました。
なんとこの懇親会でのお料理お酒飲み物については、施主様が現地産の材料調達から調理方法まで采配を奮ってくださり、地の物でのお料理と泡盛・オリオンビールなどで大変美味しく楽しい時間を過ごすことができました。お土産にサータアンダギーまでいただいてしまいました。
たくさんの方にご協力いただき、たくさんの方にご参加いただいた、思い出深い有意義な会となったと思います。
わたくしもうりずんハウスについてご報告ができたことで、やっとひと段落ついた感じがしているところです。
どの地域においてもパッシブハウスは安定した住環境を提供することができます。それを裏ずけするPHPPはどんなところにでもそれを実現するための素晴らしいメソッドだと改めて思った次第です。
「省エネ運動は平和運動」