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住まいづくりレポート

福岡市KA邸・・・設計依頼からお引渡しまで

アプローチ 2001.07.05

夕刻、突然すみませんと、女性の方からお電話をいただきました.
数年前より土地は購入済みで、自宅新築計画があるとのこと.
以前関わったI邸のお知り合いでもあるということで、I邸内部の様子もご経験済み.それに好印象を持っていただいて、空設計工房へご連絡をいただいたようです.
過去の仕事が営業してくれる、一番有り難いパターン.
こうやってお声がかかることに、本当に感謝してしまいます.
さぁまずは、お見合い.
お互いとご家族の都合を考えて、事務所の方においでいただく日時をお約束しました.

**その奥様、やはり設計事務所に突然電話をすることに少々緊張したとおっしゃっていました.
しかし電話では噛みつかれる心配はないから、自宅新築計画を設計事務所の設計監理でとお考えの方はぜひお電話からでも設計事務所に当たってみるといいと思います.少し話してみて話の通じそうな人だったら、会って見ればよいわけです.
会って話を聞き、話を聞いてもらって、自宅新築という面倒なしかも気を使いエネルギーも使う大変な一連の仕事をいっしょに楽しめる相手かどうか、見極められてから依頼をすればいいわけです.
ウマの合うこの人!が見つかるまで何軒でもお出かけになるのがいいと思います.それまでの電話や面接に費用を請求することは普通ではありません.家づくりはまず人探しから始まると言ってもいいかもしれませんね.
どこに当たったらいいか皆目見当が付かない方は、「施主と建築士の広場」というサイトを利用されるといいと思います.

お見合い 2001.07.14

お約束の日、Aさん(仮称)ご家族全員でおいでになりまいした.
まず自己紹介と、どんな家にしたいかそれぞれのお気持ちを伺います.
そして、空設計工房の設計理念をお話しました.
すると、ご主人が用意していらした資料を前に、ご家族の詳しい情報や今の暮らしの状況、そして新しい家への要望を淡々とお話くださいました.
漠然とでなく具体的にこうしたいという事や物のことがすでに伝わってきて、もう数回目の打ち合わせのように錯覚してしまいそうでした.
お子さんや奥様とも雑談も含んでいろいろなことを話す中で、生活感や考え方など割と近しい物をお持ちのようだなと感じていました.
最後に、空設計工房へ設計監理を依頼するにはどんな手続きがあるのかをご説明してその日のお見合いを終わりました.

**「設計監理依頼書」空設計工房ではプランをお出しする前にこの設計監理依頼書をいただいています.「一応、設計監理は空設計工房に依頼します」の意思表示です.そして申込金として10万円~予定総工費×1%の間の金額をお預かりします.但しこの金額は設計監理契約が結ばれれば、その報酬の一部に換算します.残念なことに契約に至らなかった場合は実費を差し引いてお返しいたします.
空設計工房がプランをお出しするのには、敷地へ通い、法的な規制を確認し、ご家族について、現在の暮らしについて、新しい家について等々ヒアリングを重ね、ご予算にあった要望を満たすひとつの物を提案するという事にかなりのエネルギーを注ぎます.そのプランで決まればその建物ができちゃうわけですから、十二分に考えておくところなのです.ですからサービスでひとつなんて無責任な物はつくれないわけです.

依頼 2001.07.16

午前中に奥様よりお電話いただきました.今日申し込みに行きたいのですが・・・
決断の早さにびっくりするやら嬉しいやら.時間を約束してお待ちします.
お越しいただいて、設計監理依頼書に署名押印を頂戴し、こちらからは設計監理依頼受理書をお返します.
「そこへ申込金の振込先が書いてあります」というと、「申し込み金もってきました」と現金を用意されていて、またもびっくり.
さて、次の段階はご自宅へおじゃまして、ヒアリングシートを書いていただく事になります.
日時をお約束して、ヒアリングシートを書けるところだけ書いておいていただくようお願いしてお持ちいただだきました.

第1回 打ち合せ

自宅拝見・ヒアリング 2001.07.24

とても暑い日でした.昼下がりにお宅へ伺いました.
川のそばでよく風の通るお宅です.エアコンは嫌いでほとんどつけない暮らし.
ヒアリングシートに沿って普段の生活の流れや、今後どうしていきたいか、そして新しいお住まいのイメージなどををうかがいました.勿論予算も.
各お部屋を拝見して、持ち込みたい家具のサイズを測り、ちょっと無駄話もしてコーヒーをごちそうになりました.
その後敷地へ案内していただき、しばらく歩き回ってお別れしました.
プラン提示まで3週間いただきました.

第2回打ち合せ

基本プラン提示 2001.08.14

またお宅の方へ伺いました.本日ご主人はお仕事、お子さん方はご在宅.
配置・平面プランと断面計画、立面を見ていただきます.
なぜこういう風に敷地を使っているのか、要求されたことをどうしてこういう形に納めたのか、などなど計画をまとめるにあたって考えていたことを逐一お話ししながら提示したプランについて色々と説明をさせていただきました.
奥様・お子さんともとても気に入っていただいた様子.このままで良さそうねと嬉しいことをおっしゃってくださいます.
しかし、いつもそうなのですが、最初のプランで即決するつもりはありません.(結果的にそうなることはよくありますが・・)
勿論それまでに手に入れた情報・要求から考えられる最良の物を提示しているのですけれど、まだわずかなお付き合いの中、読み切れていないことも多々あると思うからです.
また、形になった案を目の前にしたほうが具体的な内容を引き出しやすいと言うこともあります.
ともあれ、提示したプランの中で十分遊んでいただきたいと思っています.つまり日々の生活をそのプランの中に置き換えて不足の物はないか過分の物はないか、そしてこんな暮らしをしたいというイメージを確かめていただきたいのです.
とうことで、しばらく時間をかけてプランを体験していただくようお願いして、おいとましました.

第3回打ち合わせ

基本プランについて ご意見・質問・変更・希望 2001.09.08

数日前にお電話をいただいて、日時のお約束をしていました。
土曜日の午前に、Aさんご家族揃って事務所の方へおいでいただきました。
お渡ししいていたプランは基本的に気に入っていただけたようです。
そのプランを基に、ご質問を受けながら前回の説明では不十分だったところの補足をさせていただきました。
またプランのなかでよく遊んでいただいたようで、各スペースや設備についても具体的なご質問やご要望をうかがうことができました。
初回の時のようにご主人がそれを項目毎にまとめてくださっていて、お話がスムースにまた忘れものなく進みました。
大きな問題は特になかったのですが、将来的にご両親がいらっしゃるときのための部屋の扱いについて再度考えていただくことにしました。
当面の使い方と、その時になってからの部屋の役どころがかなり違います。その時のための設えを今からしておいてそこそこに使うのか、又はその時にすこし手を加えることにして当面活用する用途に適した様にするかということです。その広さについても変更の要望をいただきました。
このことは検討してご連絡いただくことになりました。

**嬉しいことに、雨水の利用や浴槽水の再利用などを考えたいと提案がありました。
かねがね雨水利用をやりたいと思っていますけれどその設備投資額との兼ね合いでニコニコして話せなくなってしまいます。エコ的なことは何れもそうですが投資額とその回収の関係だけで考えると、やっぱり止めておこうという結果になります。そこに設置しようとされる方の環境に対しての意識が反映されてきます。それでも経済的なことで泣く泣く諦めることも多々あります。
今回はAさんのほうから望まれたのでやっと実現できるかも知れないと喜んでいます。
県からの補助金をもらえる方法もあるのでできる限り負担の少ない方法を探して実現に持っていきたいと思います。

第4回打ち合わせ

懸案だった部屋及び玄関について 2001.09.29

前回から今回まで、数回お電話やFAXでやりとりをしていた、一階の個室とそれに伴う玄関の様子について、直接お話を伺いにAさんのお宅まで出向きました。
数日前にFAXでいただいていた要望を反映した縮尺1/50の平面図を見ていただいて、お話をすすめます。
部屋の広さ、収納の大きさ、出入り口の形態、玄関の下足入れについてなど、細かく確認をしていきました。
また他の部分で、気になっていらしたトイレや洗面室の換気の問題と、将来ふたつに分ける子どものスペースについての質問にもお答えし納得していただきました。
こうして、基本プランで気になる大きな事項はクリアできたので、つぎは図面を起こす段階に入っていきます。
次回は縮尺1/100の平面図と立面図を承認していただいたうえで、設計監理委託契約を結ぶことになります。

第5回打ち合わせ

基本プラン決定図の提示 2001.10.23

前回から1~2週間でお話しできるようなものでしたが、当方の仕事のやりくりで随分お待たせしてしまいました。 奥様に事務所の方へおいでいただきました。

基本プランの図面化したもの(縮尺は1/50になってしまいました。)を提示しました。これは、この図面から何処ひとつも変更しないで進めますと言う意味合いでは決してありません。
あくまでも基本プランです、基本的なライン(規模・おおよその計画、外観・コンセプトなど)を共有してこれから具体的に進める上で根本を固めてスムーズに運ぼういう意味合いです。
その図を見ながらもまだまだ検討しなければならないところの話につい移ってしまいます。けれど今日のところは持ちかえっていただいて、少し考えていただくことにしました。
今日しておかなければならない大切なお話があります。
基本計画が決まったところで、設計監理委託契約を結んでいただくようにしています。その書類のご説明をしました。
そして設計監理報酬についてもご説明して、その見積書を提示しました。その金額で納得していただけるなら、後日その支払時期を決定した書類にお互いに署名をして設計監理理委託契約を結びます。もちろん、今日は持ち帰っていただいてご主人と相談していただきます。
それから、これからお宅が立ち上がるまでにかかる色々な費用についてお話をしました。「Aさん邸建設にかかる費用リスト」を作っていましたので、それをご覧に入れながら予算取りのお話です。実際に建物に使うことのできる金額が洗い出されて、そのグレードがみえてきます。 今日はご主人がご一緒でないのでお持ち帰りが多いのですが、連絡をいただいてから契約締結に向かいます。

「設計監理委託契約書」
ちょっと堅苦しいですが、設計監理をお願いします、はい承りますというお約束を書類にしたものです。設計監理の仕事の内容とその期間そして報酬金額・支払時期、また不測の事が起こった場合の処理の方法等が書いてあります。

「○○邸建設にかかる費用リスト」
出費合計または建物建設費の金額を固定にすると、建築工事費に幾ら使えるか算定できるようにしています。(homepageでは項目のみです.)

(*FAX)予算の確認 2001.11.06

前回ご覧にいれて持ち帰っていただいた「Aさん邸建設にかかる費用リスト」を参考になさって、ご主人が「現金の支払い時期と工程」の表を作ってFAXしてくださいました。
融資を受ける立場として、現実的に幾らくらいの金額がどの時期に動くのかを把握されるためだと思います。これはとても大切なことで融資のタイミングと支払いがかみ合わないと、最悪の場合工事も中断してしまいます。そのあたりの調整もでき限りお手伝いいたします。
このチェックは他の仕事の上でも欠かせないので、参考にさせていただこうと思いました。
設計監理報酬の方もこの表にちゃんと含まれていて、その金額・時期ともこちらの提示したものを了承してくださっていました。
そこで設計監理委託契約を結べるよう契約書を作成しました。本来伺うべき所ですが、ご主人のお時間をこれだけに取っていただくのも心苦しくおもい、こちらの署名・押印した書類を郵送しておいて、次回の打ち合わせの時に署名・押印していただいたものを一部いただくことにしました。

「設計監理報酬の支払時期」
これこそご相談の上いかようにもなるのですが、目安としては次のように考えていただいています。
第一回目 申し込み時(契約時以前になりますが、申込金は契約成立時に報酬の一部とするとお約束がありますのでこれに充てます。)
第二回目 契約締結時
第三回目 建築確認が下りたとき。
第四回目 竣工時

(*FAX)入金の確認 2001.11.19

設計監理報酬の第二回目を入金していただいた由ご連絡いただきました。
今後のスケジュール等の確認もありましたので、次回打ち合わせの日程と共にお返事をしました。

第6回打ち合わせ

1); 植栽計画と 2); キッチン 2001.11.25

さて、いよいよ実施設計に入り細かなことの打ち合わせが続いて参ります。

1)植栽計画

新しいお宅の敷地は風致地区に入っていますので、「建築確認申請」をする前に「風致地区内の行為許可申請」をすまさなければなりません。ここの場合は主に植栽の計画と、色彩の計画です。
外構(門や塀、地盤の舗装や植栽)については普通建物と同時進行か後回しになるところですが、今回は先に決めておかなければ申請にたどり着けません。そこで要求されている立木の本数をクリアするように仲間のガーデナーに相談して、アプローチからお庭までデザインしてもらいました。
基本プランの打ち合わせをしているときに、庭に植えておきたい樹種の話もお聞きしていました。それをガーデナーには伝えてありましたので大きな変更はありませんでした。アプローチ回りや根の深さで気になるところの問題を持ち帰りました。

2)キッチン

基本のプランの時点で、その場所・大きさ・形はほぼ決まっていましたので、それをどのように充実させてていくかの話になります。おおよそのスケッチをお持ちしてそれをたたき台に、
・入れたい器機
・作業台のサイズ(その高さは作業性に微妙に影響します)
・素材(カウンタートップ・キャビネット・扉)
・物(調理器具・食器・米・根菜・ゴミetc.)の収納方法と場所
等々、要望をおうかがいしました。
それをフィードバックした図面をもとに、製作するとどのくらいかかるかという見積もりを取ります。

「夢のキッチン」

皆さんはどうお考えでしょうか?システムキッチンメーカーの提唱する夢のキッチン。雑誌の広告やカタログを見ているとウキウキします。便利な物たくさん付いていてこれもあれも欲しくなります。でもとても高いと思いませんか?車がかえる値段です。小住宅一軒分みたいな値段の話も聞いたことがあります。
現場の大工さんがよく言います。自分たちは何ヶ月も関わるこの家の価格の一割に近い金額の商売を一週間でしてしまう。よかね~って。 食は生きるのに欠かせない大切なファクターですが、その質はそれらが作られるキッチンの値段とは関係ありません。その作業において何が必要なのか、よく考えて作るのが賢いやり方でしょう。探せば欲しい物だけちゃんと適正な価格で作ってくれる業者はたくさんいます。

第7回打ち合わせ

水回り 2001.12.02

前回のキッチンについて、打ち合わせをフィードバックした図面をお持ちしました。検討事項で残しておいたとこの結果や何点か変更の要望がありました。
より使いやすく、合理的になってきたと思います。
そうなんですね。何でもそうなんですが、決定したことを少し寝かせて日々ドウダコウダとかんがえていくと、よりよいアイデアがでてきたり、それでよし!と確定できたり、本当に内容が錬られていくのです。
さて、水回りとはその名の通り水を使う場所ーー浴室・洗面脱衣室・お手洗い・洗濯室やユーティリティをさします。
このお宅では浴室・洗面脱衣室・お手洗です。
キッチンと同じくその大きさと場所はきまっています。床・壁・天井の仕上げをどうするか、浴槽や洗面まわりは何を使うか等々、今回も決めることがたくさんあります。
特に裸やそれに近い状態になるところですので、冷たい感じのしないものや、感触の柔らかい物を提案しました。
例えばコルクの浴室用タイル(床用)や槇の木の浴槽
・・・・・・・・・・・・一般的でないこともあり決定は保留です。
洗面台も化粧洗面台と呼ばれるワンピース物を置くか、木の天板にボウルを入れた手づくり風の物にするか決めかねてらっやいます。
便器関係はこのところ目を見張るようによくなっていますね。汚れにくくお掃除しやすい表面を持った陶器になっているので、何時までもきれいに使えそうです。これは形状も掃除のしやすいものへと決まりました。手すりやペイパーホルダー・タオルリングも着々と決まリました。
幾つか検討事項を残して次回のお約束をしてかえりました。

第8回打ち合わせ

各居室についてのうち合わせ 2001.12.09

引き続き、内部についてのうち合わせです。
各居室の展開図を準備して、それらの大きさの確認や仕上げをどうするか、付属の造りつけ家具や収納部分についても取り決めしていきます。
前回までに残っている検討事項の一部にお返事をいただきました。
キッチン・水回り以外の部屋について、ひとつずつ確認と具体的な要望をお聞きしていきました。
今まで平面プランと断面図だけだったのが、展開図(部屋の中に立って各壁面をみたときに見える窓や壁や家具のことが描いてある図面)を見てより具体的に内部空間を感じてどんな風になるのかなとウキウキ感もふくらみます。が予算のことを思い出して一喜一憂です。
構造体(柱・梁)構成の1/50の模型ができていましたので、あわせてご覧いただいて空間の構成を疑似体験していただきました。
大きな変更は、小屋裏の納戸の面積をとれるだけ大きくしたいとのこと、床面積が少しふくらむことになりました。

「打ち合わせの場所と時間」

これは本当に都合のよろしいところで、というふうになります。
お施主さんのお仕事や様々なこととの兼ね合いで、時間については午前中のこともあり、夜のこともあり、日曜日の昼間のみ可能の方もあり、ご都合にあわせています。
場所に付いては、仕上げのサンプルや見ていただきたいものが沢山ある時は事務所においでいただいた方が助かりますが、お子さまのことや時間帯でも事情が変わりますので、これもお互いに都合の付くところでとなります。
けれど、少なくとも最初の数回だけは必ずお宅に伺わせていただくようにしています。今の生活の様子を感じておきたいからです。また重ねて伺ううちにお客様モードでないお宅の中も拝見できるようになって、私としてはその方がより現実的な提案ができるような気がしてます。

第9回打ち合わせ

設備関係 2001.12.18

今日もお宅の方へおじゃましました。いつも真剣にそばで話を聞いていらっしゃるお子さまは、冬休み前でドリルの追い込み、ちょっと淋しいテーブルです。
設備には、電気設備と給排水衛生設備・空調換気設備と大きく三つのジャンルがあります。
今回は電気と換気設備のお話が主です。
給排水衛生に関しては水回りの打ち合わせのときに、関係のある所ですから同時に済ませています。
電気設備には、照明の場所と器具のこと、そのスイッチのこと、コンセントのこと、弱電と呼ばれるTVや電話・インターフォン・光ケーブルやCATVのこと、そして給湯器・換気扇などのコントローラーの場所についてもたくさんの要素があります。これらの日常使いやすい配置や数について決めていきます。
ご家族の暮らしを考えながら一応提案する物を持っていきましたが、ちゃんとお施主さんなりに考えて図面に書き込んでいてくださいました。そうやって具体的に考えていてくださると、決まるのも早く変更も少ないものです。
インターネットの接続はどう変化するか解りませんから、対応できるようケーブルの空配管まではしておく事にしました。そして、洗濯機や台所回りは将来200Vも入れられるようにしておきたいとのご要望もでました。こうした設備関係はどんどん進みますから、予想できるところの事は少し手を打っておくと将来変更したいときに工事が少なくてすみますね。
残りの換気設備です。キッチンのレンジフードファンの他は、第三種換気システムで計画します。
つまり蒸気や臭いがでる場所や空気のよどみそうな場所から排気をしていくのですが、それをダクトで集めて一ヶ所からファンを使って外に出すというやり方です。取り入れる空気は居室へガラリ・フィルターのついた給気口を設けてとりいれます。(換気についての話はやり出すと延々続きます。詳しいものはパッシブのコーナーにでも取り上げたいと思います。)その計画の内容をご説明して承認いただきました。
その他、今までの懸案事項の一部決定したことをうかがいました。まだ決めかねていらっしゃる所は週末までにご返事いただくことにして、おいとましました。

「第○種換気」

換気の方式には第1種・2種・3種とあります。
第1種換気方式 給気及び排気をファンにより強制的に行うもの。
第2種換気方式 給気のみをファンにより強制的に行うもの。
第3種換気方式 排気のみをファンにより強制的に行うもの。

第10回打ち合わせ 2001.12.22

懸案事項未決定の分の結果をもって事務所へお訪ねいただきました。
これでだいたいの所は方針が決まり、実施設計図面を進めます。ひととおり図面が揃ったところでまたご覧いただき、確認と希望変更があればそのようにしていくことをお伝えしました。
要素の多いキッチンなどについてはまた具体的なところをお尋ねすることそしてやりとりが度々でてくることもおはなししました。
こちらからの提案のイメージをよく掴んでくださっているからでしょうか、決定していくことが行ったりきたり変更が次々にでてくることがありませんでした。 着工まであまり余裕がないことを解っていらっしゃるので簡潔に決めていかれたのかも知れません。ですから本当に必要最低限の打ち合わせですんでいます。 図面が揃うまで少し待っていただくことにして、年末のご挨拶をしてお別れしました。

第11回打ち合わせ 2002.02.10

前回から随分間があきました。ひと月半の間(お正月休みもあったとはいえ)首を長~くして待っていらしたと思います。
その間に31枚の建築実施図面と電気設備・給排水給湯衛生設備の図面あわせて11枚を作成しました。
まだ完成とは言えない状態ですが、それらの図面をもって伺いました。
これまでの打ち合わせででてきた内容が反映されているか、図面になってはじめて認識する部分はこれでよいのか、を中心に一枚ずつ一緒に見ていきました。確認していただき、変更要望の部分のメモをとりました。
これらをまた反映した訂正図面を、見積もりに出すと言うことで、この日は終わることにしました。
いつになく長丁場の打ち合わせとなりました。
いつもの打ち合わせはだいたい2時間くらいで納まります。今日は1.5倍ほどかかってしまいました。やはり2時間程度がいい頃合いのようです。

打ち合わせ内容の確認 2002.02.12

今回もまた、ご主人が細かに変更内容を図面番号に沿ってまとめてくださいました。当日検討事項で残っていたものの回答も一部寄せていただきました。 記録は本来こちらの仕事ですが、甘えさせていただいてそのリストをもとに変更作業を続けました。

見積もり依頼 2002.02.16

特別の事情がない限りは特命で工事依頼をすることはありません。
数社の工務店に見積もりを依頼します。いわゆる合い見積もりを取って競争していただきます。単に競争価格で安いところに決めるのが目的ではありません。複数の情報が集まれば、ある価格帯でこの工事が可能なことが明確に解ります。またとんでもなく(高い・安い)価格を入れている工務店も見極めがつきます。むやみにたくさんの工務店にお願いしてもお断りする相手が増えるだけですし、内容のチェックも大変になります。最低3社から5社のあいだが順当でしょう。
今回は、空設計工房の工事をしたことがある工務店や建て主さんの紹介、また私が一度一緒に仕事をしたいと思っていた大工さんなど、結局5社に見積もりのお願いを出す事になりました。(内一軒は工期の問題で後日お断りにみえました)このお知らせは空設計工房からFAXで流します。
工事の概要と工期、見積もりの内容や提出期限などを記載し、そして何日の何時に設計図書一式を取りに来てください、といった内容のものを送ります。

「設計図書」
工事用の図面や仕様書をまとめてこう呼びます。

見積もり依頼当日 2002.02.19

事務所の方へ設計図書・敷地の案内図・地盤調査報告書・見積もり要領を準備しておきました。
30分おきに時間を設定していました。皆さんきれいに時間通りお見えになって滞りなく終わりました。
おおよその感じを写真や言葉で説明して、少しの時間ですが工務店の方とお話をします。その間に工務店のカラーというかどんな感じで仕事に絡んでゆけるのか多少でも見極めるのも私の職能かなと思います。これは図面描くより難しいことのようですが…。

第12回打ち合わせ 2002.02.19

見積もり依頼当日の夜です。
本来、図面を先に見ていただいて承認を取ってから見積もりに出すのが正しい順番ですが、スケジュールがあわずやむなく、しかし了承を得てこういたしました。工務店に渡したのと同じセットをお渡しして、内容の確認です。
ご主人がまとめてくださっているリストをもとに変更箇所が確実に訂正されているか見ていきました。
さらにでてきた要望も若干あります、未だに決定していない検討事項もあります。工務店が決まってから最終的な変更を入れて請負金額の決定ということになります。見積金額の提出は3月7日です。それまでの間に工務店さんが図面を読んで質問をあげてきます。それに応答する作業がありあますが事務所との間でのことなのでこれはレポートを割愛します。

第13回打ち合わせ 2002.03.10

見積書は3月7日に提出いただきました。見積書と各社の金額を項目別に入れたリストをつくって、その夜にとりあえずお届けしていました。
今日はその金額を見ながら、何処に工事をお願いするのかの決定と、予算に納まらない金額をどう処理するかのお話です。
5社にお願いした見積もりですが、工期の関係で1社が辞退されたので4社での競争になりました。
その金額は皆さん頑張って出していただいているのでしょう、接近しています。1位2位の間では15万円の差しかありません。
仕様の変更も含めて落ちていたり拾い間違いのところを是正して再度価格を提示していただくことになりました。
上位2社にお願いするよう提案しましたが、あまりの接戦ゆえ、何処に何社にというのも決めかねてらっしゃいます。このことは保留となり、決まり次第ご連絡をいただくことになりました。
さて、予算内にどう納めようかというのが問題です。
現設計では、これでどのくらいかかるのかと言う意味合いで指定している材料や設備がありました。その機種や材質・グレィドを少しずつ落として見ました。予算があったら付けようと思われていた物も省きました。
構造的な事や室内環境を維持する基本的なところは扱えません。
落としたい額の100%までは追いつきませんでしたが、再見積の時に工務店さんの方でもアイデアをだしていただこうという事にしました。

再見積依頼 2002.03.11

再見積の依頼をを何処へ何社お願いするか、お電話いただきました。
結局のところ三社にお願いすることとなりました。
価格もさることながら、社歴や工事歴また、現場への距離やA氏と奥様の受けられる各社の感じなども、総合的に見て優劣付けがたく、ほとほと迷っていらっしゃると言ったところでしょうか。
A氏ご夫妻は最終的に一社にしか決まらないのに(当然ですが)各社に手間をとらせて申し訳ないと大変恐縮していらっしゃいます。
再度三社の方にお出で願って、減額案の内容をお伝えし、見積もり落とし・間違いの指摘をして、金額の再提示をお願いしました。

再見積結果 2002.03.15

再見積の結課が揃いましたので、その夜お持ちしました。
見積もり落とし・間違いも是正していただいて、減額もそれぞれにしていただいた結果は、金額差も最初と変わらず、ますます迷われてしまいました。
そこでまた少し時間をおくことにして、おいとましました。

工事依頼先決定 2002.03.18

月曜の朝Aさんから工事依頼先決定のMailが届いていました。
早速決定したところに電話連絡をして、契約等の予定を決めました。
その他の工務店さんにはお断りの文書を作ってFAXでお送りしました。
AさんのMailにあった、お断りする工務店さんへのお手数だけおかけして申し訳ないと言う恐縮してらっしゃる気持ちも代弁しておきました。
決定の決め手は、
1.同規模の工事で建主さんの満足されているというお話を直接聞かれていたこと。
2.減額案のなかでただ言われたとおりでなく技術的にはどうなのかの検討をしてみえたこと。結果価格は上がっていたのですが。
3.比較的近くの会社で親近感があること。
とこの三点を上げていらっしゃいました。
価格的には第2位の工務店さんでしたがAさんご夫妻の気持ちがしっくりいく相手を選ばれたのだと思います。
こうやって選ばれた工務店さんは一層気合いを入れて仕事をされることだと思います。

工事請負契約 2002.03.20

平日ですがご主人のいらっしゃる夜半に、工務店さんと一緒にお宅へうかがいました。
既に契約書はこの工事設計図書43枚と見積もり書、と一緒にとじて作ってあります。今日は支払い条件を相談の上決定して書き込み、注文者・請負者そして監理者として私も署名捺印をして契約締結となります。
工事の内容で変わりそうなところの相談を少ししました。
細微な変更があってもこの契約内容を基準に増減額の清算を最終的にする事になります。
明日の地鎮祭の打ち合わせをしておいとましました。

地鎮祭 2002.03.21

地鎮祭

「私、雨女なんですよ」と心配していらっしゃった奥様の言葉通り、今朝にかぎって雨が降っています。風も強く早朝は嵐のようでしたが現場に近づくに従って空は明るくなってきています。
工務店さんが前日に草を刈り、テントを張っていてくださって、雨が降っていようと地鎮祭がとりおこなえるよう準備ばんたんです。
神主さんが到着されるやいなや、笹で結界を張り祭壇が着々と作られお供えが上がって、アラという間に地鎮祭が始まりました。
地鎮祭は着工する前に地霊をおさめ敷地を清め、建て主とご家族の健康と繁栄を願い、工事が滞りなく安全に終わるよう祈願する儀式です。
その通りのことを本当に私も祈り、玉串を奉天しました。
不思議なことに、降神の儀から昇神の儀の間、雨は小粒になり風もやんでいました。
式が終わった途端にまた降り出した雨を見ながら、雨の日の地鎮祭でも気に病んだり心配したりしなくていいんだよと言う、神様のメッセージだったのかも知れないなと思いました。
さぁ来週から現場が動き始めます。雨女の奥様のこの現場は梅雨が長かったりするのでしょうか?楽しみにみていきたいと思います。

杭打ち 2002.03.25-27



杭打ち

こちらの地盤は調査の結果、支持力があまりありませんでした。構造検討の結果、地盤補強として鋼管杭を打つように計画していました。 木造の住宅にしては大仰な工事ですが、基礎は建物の基盤となりあとからは扱えない部分ですから、用心するに越したことはありません。 既に遣り方・水盛りは終えて芯出しをしています。それを目安に所定の場所に杭を打っていきます。 直径約13?長さ6mの杭を打つと言うより実際はねじ込むように地盤へ押しこみます。

「遣り方・水盛り」
地鎮祭の終わった敷地の低い位置に板が張り巡らせてあるのをご覧になったことはないでしょうか?その板を使って建物の位置や基準となる高さを決めていきます。
遣り方:実際に土地の上に定規を置いて線は引けませんが、敷地の上に配置図を写す定規の目盛りの役目をします。線引きは水糸という太めの黄色い糸を張ります。
水盛り:こちらは縦(垂直)方向のガイドのために地盤面よりある高さのところで水平の基準をマークしておきます。

基礎配筋検査 2002.04.12


ベタ基礎


布基礎

地盤補強が終わって、基礎の工事か始まりました。
こちらの基礎はいわゆる「べた基礎」です。今は「布基礎」より「べた基礎」にすることがほとんどです。
その底板部分および立ち上がり部分の鉄筋を組終わったところで、設計図の通りにされているかどうかを確認にいきます。
その太さや間隔で強度が左右されます。また工事が進めば見ることのできない部分ですのでおろそかにできません。
メジャーをあてて間隔と鉄筋サイズの確認、打ち込みする基礎の外断熱材も確認して終了です。

コンクリート打ち 2002.04.17


配筋終了


配筋間隔チェック


コンクリート打ち後


基礎工事終了

14日(月曜日)に予定されていたコンクリート打ちですが,朝から雨模様なので本日に延期されました。

第14回打ち合わせ 2002.04.23


定点1

・これまでの工事の進捗状況のご説明。
工事報告書を提示しました。これは私が現場に行ったときや工務店さんが事務所にお出でになっての打ち合わせ事項・軽微な変更事項などの記録です。
・木製サッシの色決め。
・暖房設備について。
・キッチン工事について。
・工務店よりの変更申し入れ。
など細かい決め事や連絡事項続きました。検討事項のお返事の期限をいただいておいとましました。

棟上げ 2002.05.25


積まれた材木


定点2/棟上前日


もうすぐです


定点3/棟上がり

素晴らしいお天気に恵まれて、上棟の日を迎えました。
前日までに土台を敷いて、刻み(*)を終えた部材を運び込んでいます。しかも組み上げる順を考えて積んであります。そして作業がしやすいように、外壁が仕上がるまで使う足場も掛けられています。
朝7時半には職方が既に集合しています。工務店の社長が土台の四隅や職人さんたち、お施主さん家族、私にも塩をふります。そして御神酒をあげて今日の作業の無事を祈りました。
さてクレーンの準備も整って柱を立て始めます。
以前つぶやきにも書きましたが、この家の架構が棟梁と大工さんの沢山の手でちゃくちゃくと組み上げられていきます。そうやってできあがってくる家の骨組みは日がな一日見ていても飽きないものです。大工さんだけでなくクレーンのオペレーターも素晴らしい、車の誘導のおじさんもしかり、関わる方全てのプロの技が真剣に集積されてひとつのものができ上がってくる、感動の一日です。
予定より1時間ほど遅れましたが、屋根を形作る登梁も全てあがって、上棟式です。現在では執り行う現場の方が少ないようです。
お餅まきをしたいとのご要望がありましたので、簡略式ではありましたが式が行われました。仕切るのは工務店の会長でした。
扇子や五色布のお飾りをして棟から竿をたてます。二階の中心の梁の上に上棟餅(紅白の二段のお供え餅)と塩・御神酒、四方角の梁の上に同じく少し小さめの四角餅(ヨスミモチと読んでください。お餅は丸いです)をお供えします。吉方の東を向いて二礼二拍手一礼のご挨拶をします。(今日の棟上げ無事に終わりましたありがとうございます。また工事終了までよろしくお願いします。ということなのでしょう、たぶん。)そして御神酒で乾杯しました。
さぁ、お餅まきです。ご主人とお嬢さんが主になってまきます。会長や棟梁、私もお手伝いをしました。
無事行事が終了して、昔ならばお疲れさまと“なおらい”が始まりますが、職人さんたちは車を運転して帰りますから、お酒を振る舞うわけにいきません。ご主人のご挨拶と“祝いめでた”の唱和でお開きとなります。お施主さんのお気持ちで、御祝儀やお土産をいただいて帰りました。

「刻む」
柱と土台・柱と梁(や胴差や桁)・梁と梁等をつなぐのに必要な材端部の凸凹(継ぎ手や仕口といいます)をノミなどで掘ること。
近年ではプレカットといってコンピューター制御の工場で機械に掘ってもらう事も多いです。
手刻みでは一坪分二日かかると言いますが、プレカットでは二日で40坪の家に使う分量の作業が出来るそうです。
このお宅では半分プレカットして工期をかせぎました。空設計工房でよく使う登梁はプレカットがきかなくて、手刻みをお願いしています。

お引き渡し期日 2002.08.21


完成

上棟から竣工までの工期が少し短く工務店さんには少し無理をしていたきましたが、一応お約束の日には生活を始められる状態まで仕上げていただきました。 外回りを含め残工事が少しあります。
大まかなところでは問題ないようでも、住み始めてわかる不都合や仕上げ関係の忘れ物など、意外とでてくるものです。 お引っ越しが終わってからまとめて手を入れることで、快く納得していただきました。

お引き渡しを終えて

工事の進展にドキドキの8月でしたが、お約束を破ることなく入居いただけてホッとしました。
前年始めて事務所においでになってから約1年と1ヶ月後になります。
家づくりって1年以上もかかる大仕事なのです。でも1年くらいで形になってしまう長いような短いような期間です。でもこの先はもうずっとのお付き合いになることでしょう。
こちらのご家族には空設計工房の設計趣旨や意図をよく解っていただいて、予算のなかで可能なところを実践してくださいました。
それがいい結果を生んでいるようで、お子さんのアレルギー症状やご家族の鼻炎などが未だ発症しないと言うことです。また、真夏から住まい始められたわけですが、エアコンを使ったのが数回しかないとか、冬場もデロンギひとつで暖かくしていらっしゃる様です。そしてお嬢さんがその暑さ寒さも空気が丸くてやさしい感じだねと話してくださいました。性能をもった家自体の力と人に優しい自然素材の力が相まっての結果を的確に感じてくださって、それを意図して作った私には何より嬉しい言葉となりました。
こんな気持の通じる暖かいご家族のための仕事が出来て本当によかったなと思います。

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