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環境都市フライブルグ エコ事情 ~ドルナッハへの旅~ Part.2

ドルナッハ、そしてオィリュトミー国際会議

翌日4月17日、ドルナッハに到着してその空気の中に身を置いた瞬間、「桃源郷みたい……」という言葉が口をついて出てきました。

環境都市・フライブルグからドルナッハへ。途中立ち寄るバーゼルはドイツ・フランス・スイスという3つの国鉄の駅があります。 国境を越えての移動になりますが、いちいちイミグレーションを通過するのではなく、ICEの中にドイツのポリスがやってきてパスポートを確認するのみ。地続きの国々ならではですね。

もっとびっくりなのが、列車の乗り降りに改札も車内のチケットチェックもないのです。乗り越しチケットを買わなくてもスイスまでいけたかも……しかし、たまぁーにまわってくるチェックに見つかるととんでもなく高い違反金をとられると聞きました。 にしても基本はノーチェックというのは、本人の良心に任されているということでしょうか……大人な社会ですね。と、軽いカルチャーショックにおののきながら旅路は続きます。

宿泊先のInger Stibler家へ

ドルナッハ駅から歩いて2~30分のところに宿泊先がありますが、大きなスーツケースを転がして歩くのは大変だし、バスも数十分待たないとこないし、とタクシーを呼ぼうとしていたら、「うちに泊まる日本人を捜している」というおばさまが登場。なんと私たちの宿泊先の家主さんであることがわかり、「私はすぐに出かけないといけないから急いで送ります」といって軽々とスーツケースを積み込み、すぐに出発!  何時に到着するなんて何も伝えていないのによく会えたものだと不思議な幸運を感じました。

憧れのシュタイナー建築の宿泊先へ

宿泊先のInger Stibler家。お母さんがこれから10日あまりドイツに出かけて留守にするため、高校生の娘さんと息子さんに任せたといって大急ぎで家のことを説明され、出かけて行かれました。 今回はお部屋とキッチンをお借りするだけで食事はついていません。

Inger Stibler家は、アントロ建築と呼ばれるシュタイナー建築の様式で建てられていて、ぜひその空間を体験したいとわがままをいって私の宿泊先に選ばせてもらいました。 建物・建具ともになるべく直角を出さないように角をとっていること、ピンクをよく使っているのが特長です。ピンクの部屋は予想以上に落ち着けて、ゆったりできました。

オィリュトミー国際会議は明日から5日間。ドルナッハのこの家から出かけていきます。

オィリュトミー国際会議の様子

4月18日火曜日の夕方4:30に開幕、「人間の本質とオィリュトミー」というテーマの記念講演で始まりました。その後にオィリュトミーの公演もありました。
毎日でした。夜8時過ぎから公演があるのです。プロの舞台、オィリュトメウム(オィリュトミー学校)の学生の舞台、ライエン(習っている人)の舞台と。さすがにヨーロッパなんだなぁと、変なところで関心してしまいました。

翌19日から22日土曜日まで、朝は9時から講演が始まります。30分の休憩をはさんで、17の講座にわかれてワークショップを受講します。各国から著名な先生がみえて教えてくださいます。これが午後1時前で終わり、お昼ご飯と自由時間となります。
途中1時間のヴァルドルフシューレ(シュタイナー学校)の生徒たちの舞台がありますが、午後5時にワークショップが始まるまでは自由な時間です。1時間15分の後、夕飯と休憩が入り(およそ2時間)その後夜の公演となるのです。
日本人には考えつきそうもないこのスケジュールの組み方!!ゲーテアヌムの環境にどっぷりと浸かった5日間でした。

毎日様々なテーマでの講演は、ゲーテアヌムのステンドグラスのモティーフの言葉について、また人間の身体、音楽の本質、オィリュトミーの教育的療法的効果・芸術的側面についてなど、盛りだくさんの内容でした。聞いてきただけで何処まで理解できたのかは定かではありません。
もちろんドイツ語での講義ですが、現地の日本人オィリュトミスティンが同時通訳をしてくださったので聞くことが出来ました。

「ゲーテアヌム」

ルドル・フシュタイナーが人智学協会の拠り所として、また神秘劇やオィリュトミーのための劇場として 建てた建物です。ドルナッハの丘の上にありますが、そのまわりにもシュタイナーの作った建物が点在していて、その一帯は独特の雰囲気があります。現在ある のは第二ゲーテアヌム(1925~1928建設)で、同じ場所にあった木造の第一ゲーテアヌム(1913~1920建設)は1923年にナチの狂信者によ る放火で炎上しています。

ステンドグラス

色ガラスのパーツを縁取った普通見かけるのものではなく、厚い色ガラスの板にエッチングを施してその色の濃淡で表現しています。
写真はおみやげに買ったカードをスキャンしています。ここでは建物の中でシャッターを押すことが暗黙のうちにダブーのようでした。色がよく出ていません、実際は燃えるような赤です。図柄それぞれに深い意味合いがあります。ココでは内容に触れませんが、解説の本が出ています。

ワークショップ

直に先生の言語を理解できない私たちが、受けることの出来る講座は限られていました。現地の日本人の方も受けていらして、そこそこに通訳してくださるクラスでないと訳がわからないでしょうから。それでも五感を全開にして必死で参加してきました。
延べ6回のワークショップでしたが、私の参加したクラスはかなり高度な内容でした。シューマンのエチュードOPUS13の作品の導入部を使って、音楽オィ リュトミーの様々な要素を的確に説明され、それを体験させてもらいました。表現に至るにはまだまだのところにいますが、意識の底に大切に仕舞っておくだけ でも今後の動きに何らかの違いを与えてくれそうです。

ライエンでの発表

この会議へのもう一つの大きな目的がライエンコースの舞台発表でした。各国からそして、数十年後でも オィリュトミーを続けていられるんだなと嬉しくさせられる年齢の方を含めて9組の参加でした。この時へ向けて今までしたこともないような密度と頻度で練習 をしてきました。仲間との関係性を含め今回の国際会議のメインテーマ「オィリュトミーを通しての自己教育」をある意味実践できたようです。現地ではピアニ ストや練習の場所に恵まれる、ステージに照明をつけてもらえる等々の幸運が付いてまわりました。ゲーテアヌムのグロッセンザール(大ホール)1000人も の観客の前でしたが、その場所の力が私たちを支えてくれたようです。始めて味わう仲間との会場との一体感、際だつ集中力、静かなはっきりとした時の流れが 目に見えるようでした。作品は媒体として働き、素晴らしい幸福感を得ることが出来ました。まわりにいらっしゃる様々な方のお陰で、貴重な体験をさせていた だいたことを心より感謝いたします。

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