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あづさいDornachへの旅・1

出発〜フライブルクエコ事情



2006年4月18日〜22日にスイス・ドルナッハで行われるオィリュトミー(*)国際会議へ、いつも練習している「あづさい」の仲間と参加することになりました。もちろん先生もご一緒です。


オィリュトミー会議プログラム表紙

オィリュトミー国際会議〈Eurythmie - im Strom der Zeit Eine Tagung fur Alle〉は人智学的な講演、オィリュトミーワークショップ、オィリュトミーー公演(プロ・学生・シュタイナー学校生徒・ライエン(*))と盛りだくさんです。わたくしたちもライエンの時間に舞台へ上がって発表する事になってしまいました。

*オィリュトミー
江藤の趣味です。1912年ルドルフ.シュタイナーによって生み出された「みえる音楽、みえる言葉」と言われる舞踊

*ライエン
プロのオィリュトミストでなくそれを目指すオィリュトメウムの学生でなく習い事として続けている素人

ドルナッハはバーゼル(*)から南に二駅7分くらいのところです。オィリュトミー会議のために渡欧するとはいえ、かの環境都市ドイツ・フライブルグから列車で1時間ほどのところまで行くのですから、是非そこにも寄りたいと虫が騒ぐのはご想像いただけることと思います。そこで皆より早く出発してフライブルグにも行く事にしました。

*バーゼル
スイス第二の都市、ドイツ・フランス・スイス三国の国境地域
空港はスイス側・フランス側の出口がある
国鉄はドイツ駅・スイス駅・フランス駅と三つもある


さて、フライブルグで何を見よううか?調べても的が絞れません、地理も不案内だし・・そこで日本バウビオロギー研究会代表の石川恒夫先生(前橋工科大学助教授)に見てくるべき建物や場所についてご相談しました。たくさんの候補があり解説も欲しいと欲張りな注文に、BUND(ドイツ環境自然保護連盟)の設立者の一人でもあるエアハルト・シュルツ氏をご紹介頂きました。お忙しいシュルツ氏ですが、幸いフライブルグを訪ねる日にはお時間があるとのことでしたので、ガイドをお願いすることになりました。


■4月15日(土)
午前中はいつものようにオィリュトミーの練習をし、午後の飛行機で羽田へ、リムジンバスで成田へ、夜の国際線でいよいよ出発!

■4月16日(日)
11時間30分かかってパリへ到着、国内線へ乗り換えバーゼルへ、バーゼルのドイツ駅からICE(*)に乗ってナント34分でフライブルグへ到着。
日本との時差は7時間、福岡からは計29時間かかりました。

*ICE
InterCityExpress 高速列車。
帰ってきて調べたら、かのイエンス・ペータース氏がBPR在籍中のデザインでした。
さすが!抜群の居住性でした。


シュルツ氏とフライブルグ中央駅で出会って、まず町の中を少し歩きました。
4月16日はイースターの日曜日でした。残念ながら、ほとんどのところがお休みで建物の中まで見せていただけるところがあまりないということでした。

駅を出てすぐに「駅ビル高層部に貼りついている壁面ソーラーコレクター(太陽光発電パネル)」 ―327平米の面積を持ち南ドイツ最大の年間24,000kwhという発電量、そして年間16tのCO2削減量を誇る―を眺めて、


駅壁面ソーラーコレクター

「ゲベルベシューレ(工業学校)のソーラータワー」へ向かいます。
大学進学を目指す子ども達が進むギムナジウムと並ぶゲベルベシューレは、いわゆるマイスター養成のカリキュラムを持つ専門学校です。このゲベルベシューレには再生可能(自然)エネルギー専門の学科があるそうです。


ソーラータワー

ソーラータワーにはソーラーコレクターおよび太陽熱温水パネルのいくつもの機種を取り付けてあります。どれがどういう効率であるかと言うデーターを取っているそうです。またその設備の効用などをおのずと広告する媒体にもなっていますし、その下にはセミナールームも持っています。
また校内には水位の落差2mで水車もまわっていて、同じようにその流量やら発電量のデータをとっていました。


水車


また数分歩いて『エコホテル「ヴィクトリア」』へ着きました。
創業100年ほどの室数60のオーナーホテルです。1940年に作家ヘミングイウェイも泊まったことのあるそのホテルは5年前にエコ改修したそうです。


ホテルヴィクトリア

使用エネルギーの約半分ほどをソーラーコレクターによる自家発電と太陽熱温水器でまかなっているそうです。そしてボイラーの燃料は近隣の製剤所から出る木屑を圧力で固めただけのペレットです。


ペレット

不足の電気は購入していますが、その発電源は再生可能エネルギー(太陽光・風力)のものに限っているそうです。つまりこのホテルでの使うエネルギー源に全く化石燃料は使われていないのです。気持ちいいくらい徹底しています。エネルギー源を指定して買えるということが画期的です。だからホテルの売り方としても「それにこだわっているよ」という特色が出せるわけですね。

次は車に乗って少し郊外へ。
昔のフランス軍が駐留していた建物を、これまたエコ改修した学生寮と多目的用途の建物(幼稚園や集会所、コミュニティハウス、カフェなどが入っていました)、そして民間が開発した多数の建築家デザインによる集合住宅が近隣住区を作りあげている「ソーラージ−ドルンク」 一部には対シックハウス者仕様の集合住宅も建設中でした。
もちろんどの建物もすべてソーラーコレクターを乗せていました。そして「近隣集中エネルギーセンター」でまとめてお湯を作り各戸へ引いて給湯・暖房をまかなっています。このエネルギーセンターも熱源はペレットでした。ドイツ人の生真面目さがいとおしいほどです。


ソーラージードルンク

ソーラージードルンク・建物

ソーラージードルンクから大きな通りの向こうに見えるのは「ソーラーシップ」 と呼ばれる建物です。再生可能エネルギー使用についての研究をする施設とテナント用スペースのある建物でそれ自体が実験棟のようなつくりです。屋根はもちろんソーラーコレクターで覆われてというより、作られています。窓は全てアルゴンガス入りのトリプルガラスを使った木製サッシ。外壁には真空層をサンドしたパネルをカーテンウォールに使っています。
 


ソーラーシップ

冷房すると言う考えがないこの地方でも、近年は暑くてたまらない日が数日あったりするそうです(ここでも温暖化の影響!?)。そんな時のために通風用ガラリを外観のデザインに上手く取り込んで付けています。写真でみえる外壁のカラフルな板、この小口がガラリになっています。 これだけモダンなデザインなのに窓はどうしても木製なんだなぁ、素敵です!

ソーラーシップのむこうにはゼロエネならぬ「プラスエネルギー住宅」


プラスエネルギー住宅

ここも民間のプロジェクトで分譲住宅58戸の団地です。屋根はソーラーコレクターでできています。そして一戸の上に載っているソーラーコレクターで発電する量がその使用量を上回っており、電力会社に年中売れるのでプラスエネルギー住宅というわけです。
その金額は年間3,500 EUR(約50万円)ほどになるそうです。日本では考えられないような金額ですね。この団地ではそのソーラーコレクターはオプションで、購入者の自由意志に任せられているそうですが、ついていない家は一軒もなかったようです。

またこれらの住宅はいわゆるヨーロッパの住宅のようではなく、日本の物のように南に大きな掃き出しの開口部を持っています。そして長いひさしとバルコニーがついているのです。とてもなじみのあるデザイン要素!つまり冬場、高度が低い太陽光を取り入れ暖房負荷を減らそうという取り組み。もちろん一階にはダイレクトゲインを採用してあります。

各戸のデザインはほとんど変わりなく繰り返されているのですが、外壁の仕上げや色使いなどで少しずつ変化をつけています。その鮮やかな色使いは不思議とヨーロッパの空気の中では、いやらしくも無くうるさくも感じません。きっと湿度や緯度による太陽光の違いに関係があるのではないかと思います。
さて、ここまでソーラーコレクターがしつこく出てきました。
昨年その設置w数は日本を抜いて一位になったドイツですが、その裏には「再生可能エネルギー法」が一躍かっているようです。
それは、ソーラーコレクターから作られる電気は設置以後20年間、電力会社が買いとらなくてはならないという法律。そしてその価格は60セントユーロ/kwだそうです。普通電力の購入金額は16セントユーロ/kwだそうですから、ずいぶんと高く買ってくれるものです。しかも行く先20年間!。これはすごいことです!
これなら初期投資に多少かかったとしても設置しようと考える人が増えることは想像にたやすいですね。そうすれば自ずと使用電力の大部分が自然エネルギー由来のものに変わっていくでしょう。使用される場所のほんの近くでできる電力は送電によるロスも少なく、LCAの大きな施設を作る必要や運営費用も要らなくなるわけです。とても頭のいい方法ではないですか?!なぜ日本では同じようにできないのでしょう?地団駄を踏みたくなります。
また、これだけソーラーコレクターを普及させているにもかかわらず「だからオール電化」という発想はないようです。長く厳しい冬の為の暖房はほとんどが低温水パネル暖房ですから、多くの湯量を必要とする彼らの常識では、給湯・暖房のお湯はガスや油や木をボイラーで燃やして得るもののようです。ただしCO2を固定化させられる森林由来のものや、油でも化石燃料ではなく菜種油を使うと言う発想です。とても健康的な感覚だと思いました。