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環境都市フライブルグ エコ事情 ~ドルナッハへの旅

2006年4月18日~22日、スイス・ドルナッハで行われるオィリュトミー(※1)国際会議に、いつもお世話になっている先生と仲間と参加してきました。 講演、ワークショップ、公演と盛りだくさん。私たちも、ライエン(※2)の時間に舞台へ上がって発表させてもらうことになってしまいました。

※1 江藤の趣味です。言葉や音楽に合わせた舞踏で、「みえる音楽・みえる言葉」といわれます。

※2 プロではなく、習い事としてオィリュトミーを続ける素人のこと。

会議の舞台であるドルナッハは、かの有名な環境都市であるドイツ・フライブルグから列車で数十分の場所にあります。 オィリュトミー会議のための渡欧とはいえ、ぜひそこにも寄りたいと虫がさわぐのはご想像いただけると思います。そこで皆より早く出発して、フライブルグにも立ち寄ることにしました。

いざ、ドイツの環境都市・フライブルグへ!

しかし、フライブルグで何を見学するか、地理もよくわからず、調べても的が絞れません。 そこで日本バウビオロギー研究会代表の石川恒夫先生(前橋工科大学助教授)に見るべき場所などをご相談したところ、BUND(ドイツ環境自然保護連盟)の設立者の一人でもあるエアハルト・シュルツ氏をご紹介いただきました。 お忙しい氏ですが、幸いその日はお時間があるとのことでガイドをお願いすることができたました。

4月16日(日)ドイツ・フライブルグへ到着!

成田から11時間半のフライトでパリへ到着し、国内線に乗り換えてバーゼルに降り立ち、そこから高速列車(ICE)に乗ってわずか34分でフライブルグへ到着。日本との時差は約7時間、福岡からは計29時間の旅でした。

シュルツ氏とフライブルグ中央駅で出会い、街を散歩。4月16日はイースターの日曜日でほとんどがお休み……ですがそこは気を取り直して。 駅ビル高層部の壁面ソーラーパネル(発電パネル)(※3)を眺めて、ゲベルシューレ(工業学校)のソーラータワーへ向かいます。 ここはいわゆるマイスター養成カリキュラムを持つ専門学校で、再生可能(自然)エネルギーの専門学科があるそうです。

※3 327m2の面積を持ち、南ドイツ最大の年間24,000kwhという発電量・年間16tのCO2削減量を誇る。

ソーラータワーにはソーラーパネルおよび太陽熱温水パネルの機種をいくつも取り付けており、どれほどの効果が出るかというデータも取得しています。設備そのものが広告媒体にもなっています。 水位落差2mの水車もあり、そこでも流量やら発電量データをとっていました。

フライブルグの素晴らしいエコ建物たち

徹底ぶりが気持ちいい、エコホテル「ヴィクトリア」

数分歩いて、エコホテル「ヴィクトリア」へ。創業100年を超える、客室60ほどのホテルです。1940年には作家のヘミングウェイも宿泊したというこのホテルは、5年前にエコ改修をしたのだそうです。

使用エネルギーの約半分はソーラーパネルによる自家発電と太陽熱温水器でまかなっており、ボイラー燃料は近隣の製材所から出る木くずを圧力で固めただけのペレットです。 不足分の電気は購入しているものの、そのエネルギー源は再生可能な太陽光や風力といったエネルギー限定なのだとか。 つまりこのホテルのエネルギー源には、化石燃料が一切使われていないということです。気持ちいいくらいの徹底ぶりで、だからこそホテルとしてもその点をPRに活かせるわけですね。

再生可能エネルギーの宝庫!「ソーラージードルンク」

車に乗って郊外の「ソーラージードルンク」へ。昔のフランス軍が駐留していた建物をエコ改修した、学生寮と多目的用途(幼稚園や集会所、カフェなど)の建物、多数の建築家がデザインした集合住宅でひとつの街区を作っていました。。

一部ではシックハウス症候群の方向け集合住宅も建設中で、もちろんどの建物もソーラーパネルを載せていました。 お湯はこれまたペレットを熱源とする「近隣集中エネルギーセンター」でまとめて沸かし、各戸へ引いて給湯・暖房をまかなうという徹底ぶり。ドイツ人の生真面目さがいとおしいほどです。

モダンデザインでエコロジーな「ソーラーシップ」

ソーラージードルンクから大きな通りの向こう側には、再生可能エネルギーの研究施設とテナントスペースのある「ソーラーシップ」があります。それ自体が実験棟といわんばかりのつくりで、 屋根はもちろんソーラーパネルで覆われて……というより、ソーラーパネルでつくられています。 窓はすべてアルゴンガス入りのトリプルガスを使った木製サッシで、外壁には真空層をサンドしたパネルをカーテンウォールとして使用しています。

冷房をするという考えがないこの地方でも、近年は暑くてたまらない日が数日あるそうで(ここでも温暖化の影響!?)、通風用ガラリを外観デザインに上手く取り込んで設置しています。 写真にあるカラフルな板、これの小口がガラリです。これだけモダンなデザインなのに窓はどこまでも木製なのが素敵!

年中電力を売りっぱなし!の「プラスエネルギー住宅」

またまたソーラーシップの向こうには、「ゼロエネ」ならぬ「プラスエネルギー住宅」があります。民間プロジェクトの分譲58戸の団地で、屋根にはソーラーパネル。 一戸の上に乗っているソーラーパネルの発電量が使用量を上回っているので、年中電力を売る“プラスエネルギー住宅”というわけです。 その金額はなんと年間3,500ユーロ(当時日本円換算で約50万円)ほどになるそう……日本では考えられない金額ですね。 ちなみに、ソーラーパネルは購入者が任意でつけるオプションだったそうなのですが、ついていない家は一軒もありませんでした。

これらの住宅はヨーロッパ風住宅ではなく、日本のように南側に大きな掃き出しの開口部があります。長いひさしとバルコニーがついている光景は私たちにとてもなじみがあるもの。 冬場、高度が低い太陽光を採り入れて暖房負荷を減らそうという取り組みだそうです。もちろん1階にはダイレクトゲインを採用しています。

各戸のデザインはほとんど変わりなく繰り返されていますが、外壁の仕上げや色遣いで変化がつけられています。 色遣いは鮮やかなのに、ヨーロッパの空の下ではうるささもいやらしさもありません。湿度や緯度の関係で、太陽光が違うからかな?と思いました。

太陽を追いかけて回転する家「ヘリオトロープ」

プラスエネルギー住宅を後にし、「ヘリオトロープ」と呼ばれるひまわり住宅(お話を聞いて私がつけた名前です)を見学しました。 本当は「バウムハウス・樹木の家」と呼ばれるそうですが、ヘリオトロープとはギリシャ語で「太陽に向く」という意味だそうで、私の命名もまんざらではないかも。

幹にあたる支柱は直径3m・高さ14.5m中空の柱で、その中には設備関係の配管・配線が通っているそうです。円柱のまわりには床が3層、しかも螺旋状に取り付けられていて、円筒の建物になっています。 そしてこの建物、なんと木造なんだとか! 

これが柱を中心に240度回転するというしくみになっていて、「なぜ?」と最初は疑問でした。 名前の通り太陽を追いかけてソーラーパネルの発電量を増やすと解釈したので、「とはいってもそのためにこんなに大きなものを動かすなんてエネルギーを使うだろうし、ナンセンスやね」とちょっと反感の気持ちが……。 聞いてみると、もちろん発電量は動かないものに比べると30%アップしますが、回転する意義は他にもありました。

建物の片側半分はトリプルガラス、残り半分は断熱性能を有する壁で仕上げられていて、暖房が必要な季節・時間帯にはガラス面を太陽に向け、暑いときはその反対に回転させることで、太陽の力を最大限利用しているのだそう。 おかげで暖房費はドイツ平均の約8分の1にもなるそうで、なるほどなと思いました。他にも屋根には7kwのソーラーパネル、手すりには太陽熱コレクター30㎡、雨水利用、コンポストトイレ……と、できることは何でも実践されています。 このヘリオトロープは1994年に建てられたドイツのエコ建築家であるロルフ・ディッシュ氏の自宅です。 後ほど調べたらとても有名なエコ建築家で、なんと先ほどのプラスエネルギー住宅やソーラージードルンクにもかかわっていらっしゃいました。

ドイツはなぜ環境大国になったのか?

ドイツは日本を抜いて世界一(当時)の設置ワット数を誇りますが、その裏には「再生可能エネルギー法」が一役買っています。 ソーラーパネルからつくられる電気は設置以後20年間、電力会社に買い取り義務があるという法律で、普通電力の購入金額が16セントユーロ/kWに対し60セントユーロ/kWで買い取られるというのだから、これはすごい! これなら初期投資がかかっても設置しようという気になるのもうなずけます。

使用場所のすぐそばで発電されるから送電によるエネルギーロスも少なく、LCAの大きな施設を建設して運営する必要もありません。 とても合理的でいい方法ですよね。

そして日本との大きな違いは、オール電化という発想がなく、冬の暖房はほとんどがガス・燃料・木をボイラーで燃やして使う低温水パネル暖房であるということ。 ただし燃やすのは、CO2排出量を固定化させられる森林由来のものや、油でも菜種油にかぎります。長く厳しい冬ではあるものの、ここでも大変健康的な感覚のうえで成り立っているのがわかります。

太陽光で太陽光パネルを製造する工場「ソーラーファブリック」

ヘリオトロープを見学するまでずっと降り続けていた雨も上がり、次に案内されたのはソーラー発電パネルの工場「ソーラーファブリック」でした。 閉まっていたので外から見ただけですが、自前のソーラーパネルがたくさん。 もしかして?と思って聞いたら、やはり工場の使用エネルギーはすべて自然由来のもので、電気はパネル発電、熱源は菜種油のボイラー、雨水利用もされているとのこと。 太陽からもらった電気でパネルを製造できるというのはなんとも素敵ですね。

ちょっとひと息「マリア・マグダレーナ教会」

ソーラーファブリックからさして離れていないブロックにある教会に案内されました。バウビオロギー的な関係はなさそうなコンクリート打ち放しの現代的な建物です。 正面の扉から入るとホールの右側にはプロテスタント、左にはカトリックの教会とひとつの教会でふたつの教派が同居していたのです。それぞれにそれらしく設えがされていました。 祈りの場所はどんなかたちであっても厳かでシンとしていますね。

築35年の大胆エコ改修高層住宅

築35年の高層住宅を大胆にエコ改修した例です。真空層を挟んだ断熱効果の高いガラスパネルで建物を覆い、南壁面につけたソーラーパネルで使用電力の12%を、屋上の太陽熱コレクターで給湯の28%をまかなえるそうです。

あの有名な「エコステーション」へふたたび

エコロジーを勉強して実践する有名施設です。このときからちょうど8年前に参加したドイツのエコツアーでも立ち寄りました。 公園の中にあって、屋根の緑化、木を組み上げた屋根構造、土壁、温室、地熱利用、土中の冷蔵庫、ビオトープによる水質浄化などなど、画期的な試みを続けている実験棟です。 さらに、セミナー室としても使われています。

屋根マイスターがつくる発電シートのある屋根

お次は、ソーラーパネルを組み合わせた独自の屋根改修をされているマイスター・Herr FALLER氏にお会いしました。緩勾配の屋根だったので、工事された屋根の上でお話をお聞きしました。

既設の屋根の上に通気層をとって断熱パネルと金属板でできた新しい屋根材を施工し、そのうえに発電パネルならぬ発電シート(アモルファスタイプ)を貼るという工法です。 シートであれば屋根や建物にかかる負担は軽く、面積も十分ということで、とてもいい発想だなと思いました。すでに特許取得済でしたけど……。

ヘリオトロープの作者が設計した有料老人ホーム

フライブルグから北へ15kmのエメンディンゲンの有料老人ホームへ。中庭から眺めさせてもらったのみですが、先ほどから登場しているヘリオトロープの作者であるロルフ・ディッシュ氏の設計でした。中を見てみたかったなぁ!!

介護を必要とされない方が住む賃貸の棟と、要介護の方が暮らす棟が中庭をぐるりと囲んで配置されています。もちろん屋根の上には太陽熱コレクターが並んでおり、その面積は100平米もあるのだそうです。

日本のようにダラダラしていないドイツの風景

街から街へドイツを移動するなかで感じたのは、ドイツは街と郊外がとてもはっきりと分かれていることです。人家が途切れたところからはずっと田園や草原、林の中に道が通っているだけ。 人の住むところとその他の地域を明確に分けていて、メリハリのある国土計画? 都市計画? だなぁと感心しました。飛行機の上から見た夜景も、蜘蛛の巣のところどころ灯りが溜まっていましたね。

街から街へドイツを移動するなかで感じたのは、ドイツは街と郊外がとてもはっきりと分かれていることです。人家が途切れたところからはずっと田園や草原、林の中に道が通っているだけ。 人の住むところとその他の地域を明確に分けていて、メリハリのある国土計画? 都市計画? だなぁと感心しました。飛行機の上から見た夜景も、蜘蛛の巣のところどころ灯りが溜まっていましたね。

-15℃の冬に耐えうる断熱戸建住宅を見学

次に立ち寄ったのは、戸建住宅の建設現場です。近年は木造が主流だそうで、以前きたときに一般的な工法だと聞いた「レンガブロック造」「木軸でも壁はレンガ積み」というのとはまた様相が変わっています。

木造といっても2×6の壁構造で、15cmほどの壁厚にウール断熱材を充填し、外部には5cmの木質繊維板が加わることで計20cm厚の断熱層ができあがります。真冬には-15℃にもなるこの地方では必要な仕様かもしれません。

屋根には厚さ10cmのウレタンフォーム板が使われていました。フォーム材は発泡にフロンを使ったり廃棄方法が解決されていなかったりと環境負荷が大きい材料なので、バウビオロギーがテーマなのにちょっとがっかり……。 そうシュルツ氏に話すと、「100%バウビオロギーはやはり大変なんだ。予算の関係もあるからね。これは水発泡だからまだ負担は軽い」と……どこでも事情は似たようなものなんだなぁとため息がひとつ出ました。

この頃、ちょうど空も暗くなってきて冷えてきました。日本から着いてすぐの見学ツアーで、時差もあって頭が朦朧としてきて……まだ少し明るいのですが、現地時刻は夜8時。 日本時間だと午前3時!! 車の中で思わずうとうとしていると、「あそこに見えるのが……」と世界初のバイオ処理ゴミ処理場を紹介されました。 自治体ではなく企業がやっているということで、ちょっと自慢げだったな、シュルツさんの声……。

日本でいう左官さん・レームバウマイスターのもとへ

最後の見学場所、レームバウマイスターに到着しました。約束を入れておいていただいたのに予定より遅れての到着になってしまいました。それでもとても歓迎してくださいました。

レームバウマイスターとは、「Lehm:土・粘土 Bau:建築 Meister:巨匠・親方」とその名の通り、日本でいう左官さんのお仕事をされる方のショールームで、 奥様が経営される壁紙・カーテンといった内装のショールームも隣接されていました。

壁暖房のパイプを仕込んだ下地のボード、中塗り・仕上げに使うさまざまな土、それらの塗り見本が展示されていて、とても興味深く、長居したくなるような空間でした。 日本の土壁のこともお話しして、結構長いこと盛り上がっていたのですが、いかんせん脳はすでに眠っていたようでせっかくのお話が思い出せません……。

最後においしいお食事を!

すっかりヘロヘロになっていたところで、のどかな田舎風のレストランへ案内されました。 もうホテルへ帰りたい……と心の中で少し泣きながらも、この地方のおいしいものを食べさせてあげたいというシュルツ氏の思いに感謝し、食事を楽しみます。

ピザのようなオーブン料理でしたがチーズではなく、サワークリームベースのソースの上にポテトとたまねぎとベーコンが乗ったもの、リンゴが乗った少し甘めのもの、といただき、お料理の名前は思い出せないのですがおいしかったです!!  この旅の中で食べたものは、ひとつひとつの素材が元気で、その味だけでおいしいものが多かったですね。

またまたこっくりこっくりしながら車の中……シュルツさんごめんなさい。やっとフライブルグに戻り、やっとホテルにつけてもらえるかと思いきや、大聖堂がライトアップされているので見ていこうと大聖堂へ立ち寄りました。 ゆっくり見るなら明るいときでいいけれど、ライトアップしたものは今だけでしょう?と。その通りです!!! そうしてこうして、やっと駅前のホテルへ届けていただきました。なんと現地時間12時を回ろうという時間です。 お昼の12時に駅のホームで初めましてとご挨拶してから丸半日、シュルツさん、通訳の西川さん、本当にありがとうございました。そしてお疲れさまでした!

ドルナッハ、そしてオィリュトミー国際会議

翌日4月17日、ドルナッハに到着してその空気の中に身を置いた瞬間、「桃源郷みたい……」という言葉が口をついて出てきました。

環境都市・フライブルグからドルナッハへ。途中立ち寄るバーゼルはドイツ・フランス・スイスという3つの国鉄の駅があります。 国境を越えての移動になりますが、いちいちイミグレーションを通過するのではなく、ICEの中にドイツのポリスがやってきてパスポートを確認するのみ。地続きの国々ならではですね。

もっとびっくりなのが、列車の乗り降りに改札も車内のチケットチェックもないのです。乗り越しチケットを買わなくてもスイスまでいけたかも……しかし、たまぁーにまわってくるチェックに見つかるととんでもなく高い違反金をとられると聞きました。 にしても基本はノーチェックというのは、本人の良心に任されているということでしょうか……大人な社会ですね。と、軽いカルチャーショックにおののきながら旅路は続きます。

宿泊先のInger Stibler家へ

ドルナッハ駅から歩いて2~30分のところに宿泊先がありますが、大きなスーツケースを転がして歩くのは大変だし、バスも数十分待たないとこないし、とタクシーを呼ぼうとしていたら、 「うちに泊まる日本人を捜している」というおばさまが登場。なんと私たちの宿泊先の家主さんであることがわかり、「私はすぐに出かけないといけないから急いで送ります」といって軽々とスーツケースを積み込み、すぐに出発!  何時に到着するなんて何も伝えていないのによく会えたものだと不思議な幸運を感じました。

憧れのシュタイナー建築の宿泊先へ

宿泊先のInger Stibler家。お母さんがこれから10日あまりドイツに出かけて留守にするため、高校生の娘さんと息子さんに任せたといって大急ぎで家のことを説明され、出かけて行かれました。 今回はお部屋とキッチンをお借りするだけで食事はついていません。

Inger Stibler家は、アントロ建築と呼ばれるシュタイナー建築の様式で建てられていて、ぜひその空間を体験したいとわがままをいって私の宿泊先に選ばせてもらいました。 建物・建具ともになるべく直角を出さないように角をとっていること、ピンクをよく使っているのが特長です。ピンクの部屋は予想以上に落ち着けて、ゆったりできました。

オィリュトミー国際会議は明日から5日間。ドルナッハのこの家から出かけていきます。

オィリュトミー国際会議の様子

4月18日火曜日の夕方4:30に開幕、「人間の本質とオィリュトミー」というテーマの記念講演で始まりました。その後にオィリュトミーの公演もありました。
毎日でした。夜8時過ぎから公演があるのです。プロの舞台、オィリュトメウム(オィリュトミー学校)の学生の舞台、ライエン(習っている人)の舞台と。さすがにヨーロッパなんだなぁと、変なところで関心してしまいました。

翌19日から22日土曜日まで、朝は9時から講演が始まります。30分の休憩をはさんで、17の講座にわかれてワークショップを受講します。各国から著名な先生がみえて教えてくださいます。これが午後1時前で終わり、お昼ご飯と自由時間となります。
途中1時間のヴァルドルフシューレ(シュタイナー学校)の生徒たちの舞台がありますが、午後5時にワークショップが始まるまでは自由な時間です。1時間15分の後、夕飯と休憩が入り(およそ2時間)その後夜の公演となるのです。
日本人には考えつきそうもないこのスケジュールの組み方!!ゲーテアヌムの環境にどっぷりと浸かった5日間でした。

「ゲーテアヌム」

ルドル・フシュタイナーが人智学協会の拠り所として、また神秘劇やオィリュトミーのための劇場として 建てた建物です。ドルナッハの丘の上にありますが、そのまわりにもシュタイナーの作った建物が点在していて、その一帯は独特の雰囲気があります。現在ある のは第二ゲーテアヌム(1925~1928建設)で、同じ場所にあった木造の第一ゲーテアヌム(1913~1920建設)は1923年にナチの狂信者によ る放火で炎上しています。

毎日様々なテーマでの講演は、ゲーテアヌムのステンドグラスのモティーフの言葉について、また人間の身体、音楽の本質、オィリュトミーの教育的療法的効果・芸術的側面についてなど、盛りだくさんの内容でした。聞いてきただけで何処まで理解できたのかは定かではありません。
もちろんドイツ語での講義ですが、現地の日本人オィリュトミスティンが同時通訳をしてくださったので聞くことが出来ました。

ステンドグラス

色ガラスのパーツを縁取った普通見かけるのものではなく、厚い色ガラスの板にエッチングを施してその色の濃淡で表現しています。
写真はおみやげに買ったカードをスキャンしています。ここでは建物の中でシャッターを押すことが暗黙のうちにダブーのようでした。色がよく出ていません、実際は燃えるような赤です。図柄それぞれに深い意味合いがあります。ココでは内容に触れませんが、解説の本が出ています。

ワークショップ

直に先生の言語を理解できない私たちが、受けることの出来る講座は限られていました。現地の日本人の方も受けていらして、そこそこに通訳してくださるクラスでないと訳がわからないでしょうから。それでも五感を全開にして必死で参加してきました。
延べ6回のワークショップでしたが、私の参加したクラスはかなり高度な内容でした。シューマンのエチュードOPUS13の作品の導入部を使って、音楽オィ リュトミーの様々な要素を的確に説明され、それを体験させてもらいました。表現に至るにはまだまだのところにいますが、意識の底に大切に仕舞っておくだけ でも今後の動きに何らかの違いを与えてくれそうです。

ライエンでの発表

この会議へのもう一つの大きな目的がライエンコースの舞台発表でした。各国からそして、数十年後でも オィリュトミーを続けていられるんだなと嬉しくさせられる年齢の方を含めて9組の参加でした。この時へ向けて今までしたこともないような密度と頻度で練習 をしてきました。仲間との関係性を含め今回の国際会議のメインテーマ「オィリュトミーを通しての自己教育」をある意味実践できたようです。現地ではピアニ ストや練習の場所に恵まれる、ステージに照明をつけてもらえる等々の幸運が付いてまわりました。ゲーテアヌムのグロッセンザール(大ホール)1000人も の観客の前でしたが、その場所の力が私たちを支えてくれたようです。始めて味わう仲間との会場との一体感、際だつ集中力、静かなはっきりとした時の流れが 目に見えるようでした。作品は媒体として働き、素晴らしい幸福感を得ることが出来ました。まわりにいらっしゃる様々な方のお陰で、貴重な体験をさせていた だいたことを心より感謝いたします。

つぶやきコラム書いてます